ラブ


バラのことを、少しでも調べていたら、最初のハイブリッドティとして、この品種を迎え入れることはなかったであろう。

 

ピースに始まり、名花を列挙するのに暇がないからだ。

 

ラブを選んだのは、衝動的に訪れたバラ園で、その名前に惹かれたからである。

バラの名称には、長い横文字のものが多くて、初心者には理解するのが大変だ。

 

その点、ラブは一度聞いたら絶対に忘れない。

 

始めた頃のバラ選びは、だいたいがこの程度のものであった。

 

地植えスペースに限りがあるため、テラコッタの鉢を買って、植え付けた。

 

それからというもの、今日まで、病気らしいことをしたことがない、と言っても良いほどの丈夫さである。

 

偶然ではあったが、その点は、初心者の選択として、間違ってはいなかった。

 

現在では、初めて迎え入れたメモリアルローズとして、その他のバラたちに囲まれている。

 

ラブの魅力は、何といっても、赤と白のツートンの彩りにある。

 

花弁の表が、朱色に近い赤で、裏側が白い。

1980年の産出だから、ほぼ40年が経っている。

 

だが、コンテンポラリーとでもいうのか、今になっても全体的にコジャレた雰囲気に、劣化を感じることはない。

 

濃い緑の葉とのコントラストも美しい。

 

樹形はかなりスリムで、コンパクトにまとまる(100x30m程度で栽培可能)。

 

そして、この花の最大の特徴は、花期が大変長いこと。

 

雨に打たれても、いつまでも辛抱強く咲き続けている。

 

かといって「おしん」のように、逆境を耐え忍んでいるような、悲惨さは出でいない。

 

おおらかな、包容力みたいなものがある。

 

香りが全くないのは残念だけど、その咲き様は、「いかにもアメリカのバラだな」、と思わせてくれる名花だとおもう。

 

《AARS受賞作品》


Love

作者: W.A.Warriner、系統: HT、作年: 1980、産地: アメリカ、色: 赤白、香り: 微香、開花性: 四季咲き、花形: 剣弁高芯(中輪)、樹形: 直立(1.2m)