
翌年(2009年)の春を迎えるに当たって、バラの数を増やしたいと思うようになった。
ところが、大方の地面はタイルでふさいでしまっている。
「鉢植えにすれば、軒下やウッドデッキの周りにでも、バラを育てられるのではないか」、と考えた。
東側の軒下に大型プランターを置いて、数本のバラを置くことにする。

以前から、一本は黒バラが欲しいと思っていた。
ネットでパパメイアンを探していたが、なかなか良さそうなものが見つからなかった。
そんな折、シャルル・マルランはパパメイアンの父親の系統に当たることを知る。

お迎えするや否や、シャルルは、いきなり黒赤でビロード状の巨大な花を咲かせる。
不気味さを感じるほどに大きな花。
そして、むせ返るほど強烈なムスクの香り。
バラには、女性のイメージが強かった。
バラに男性の名前をつけることに、違和感はないのかと、いぶかしく思っていた。
しかし、この花の有り程を見て納得した。
こういう力強い存在感からは、女性をイメージすることはできない。

だが、株が充実する前のシャルルは、毎年うどん粉と黒点を併発して、大変手が掛かる存在だった。
それが、5年目を過ぎたころから、とても強い樹勢となる。
太いベーサルシュートが、何本か上がってくるようになる。
それにつれて、うどん粉や黒点に悩まされることもなくなった。
樹高は、そのままにしておくと2m近くまで伸びる。
雨が当たらず、午前中の陽光をふんだんに受けられる、我が家のベストポジションにいる恩恵のためか。
四季咲性も優良である。
自分が生まれる前に誕生したバラ。
大戦直後から現在までを生き延びている、黒バラ界のレジェンド。
シャルルの咲いている一角には、古風なヨーロッパにスリップしたかのような趣が生まれる。
それに貴族的と言うべきか、落ち着いた気品と風格が伴う。
8年を過ごしたため、貫禄も出てきたのだろう。
我が家では、他のバラたちを従える王様のように君臨している。

Charles Mallerin
作者:F.Meilland 、系統:HT 、作年:1947 、産地:フランス 、色:黒赤 、香り: 強香(ダマスク)、開花性:四季咲 、花形: 剣弁高芯咲き(超大輪)、樹形: 木立性(1.8mにはなる)
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miko (金曜日, 01 9月 2017 18:30)
パパメイアン、今年初めて出会いました!
そのお父さんの系統なんてびっくりです。
社内の弓田さんから何回かいただいたのです。
ダマスクの香りがすばらしく、うっとりしました。
お風呂に入れたり、食べたりしました。
はちみつをかけていただくと格別です。
ワインと一緒にも楽しみました。
少し冷凍してみました(*^。^*)
今度食べてみますか?