
アンティーク系のツルバラをさがしているとき、この品種を見い出した。
西側にあるウッドデッキの上にも大型プランターを置けば、バラが栽培できるのではないかと考え、それにミートするものを探していた。
このウッドデッキは、大きく育ったジューンベリーの陰となっていて、日当たりが余り良くない。
しかも南側には、我が家の塀のギリギリのところに隣家が建てられたばかりである。
したがい、期待できる陽光と言えば、ジューンべりーを通してくる東側からの木漏れ日と、南の家を通り過ぎた後にくる西日と言うことになる。

ネット上のあちこちを探して、この条件に合うものを探した。
しかし、ピッタリ当てはまるものに行き当たることができず、結局「日陰に強い」というジャンルを探すことに。
その結果、探しだ下のが、この矢鱈と長い名称のバラだった。
「チャイナローズ」という系統にも惹かれた。
中国がバラの原産地とは、思ってもいなかったためだ。

このバラの出自は、大変興味深い。
1845年にイギリス人のロバート・フォーチュンと言う人物が、中国の山中でゲットしたことが分かっている。
R.フォーチュンについては、サラ・ローズという人が書いた、「紅茶スパイ」なるノンフィクション小説があることを知った。
このバラを所有している者の一人として、ぜひ読んでみたいと思っている。
その当時は、プラントハンターという職種の人たちがいて、R.フォーチュンもその一人であった。
中国が未開の頃、バラや茶など、珍しい花や木を求めて奥地を冒険をしたイギリス人だという。
アビシニアンと同じように、イギリス人が連れ帰った品種なんだなぁと思う。

このバラの特徴はといえば、何と言っても温かい花色と旺盛な多花性ではないだろうか。
アンティーク系でオレンジは数が少ないので、それだけでも貴重な存在だ。
毎年決まって、いち早く4月後半に咲き出す品種である。
細長いツボミがいくつも立ってきて、それが次から次へとリレーのように連続で咲き続ける。
春の明るい青空をバックにした、素朴で優しいオレンジ色のコントラストには、どこか桃源郷のを思わせる風情があると思う。
バラなのに桃源郷というのは的外れのような気もする。
が、年に一度だけ春先に出現する幻想的な花の世界は、やっとたどり着くことのできた休息の地そのものである。
多種多様な四季咲きが提供されている今日において、敢えて一季咲き性の品種を迎え入れる必要はないのかも知れない。
しかし一季咲きであることが、この花をより魅力的なものとして、200年弱を生き続けることを可能とした、不可欠な要素だったのではないかと思っている。

Fortune's Doble Yellow
作者:R.Fortune、系統:CL,O,Ch、作年:1845、産地:中国、色:黄・アップリコット・オレンジ、香り:微香、開花性:一季咲き、花形:半二重咲き(中輪)、樹形: (2.5m程度)
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